定着に成功したベンダーが共通してやっていること─3つのパターン

田中さんが病棟を訪問すると、いつもと雰囲気が違いました。

ナースステーションのホワイトボードに、手書きの申し送りはありませんでした。スタッフが自然にタブレットを操作していました。「これ、どうやって使うんだっけ」という声も聞こえませんでした。

「定着していますね」と田中さんが師長に言うと、師長はこう答えました。「最初は大変でしたけど、担当の方がずっと一緒にいてくれたので」。

定着に成功した病院には、共通点がありました。システムではありません。ベンダーの動き方でした。


目次

3つの共通パターン

パターン1:導入前に業務の棚卸しをしている

定着に成功したベンダーは、契約が決まった後すぐにシステムの説明を始めません。まず現場の業務フローを理解することから始めます。今どんな手順で仕事をしているのか。どこに非効率があるのか。何に困っているのか。この棚卸しをしているからこそ、「このシステムでこの部分が変わります」という具体的な提案ができます。棚卸しなしに導入したシステムは、現場のルールの上に置かれるだけです。

パターン2:現場の意向に沿ったサポート計画を事前に設計している

定着に成功したベンダーは、導入前にサポート計画を現場と一緒に作ります。導入後1ヶ月はどのくらいの頻度で現場に入るか。誰がフォローを担当するか。困ったときの連絡フローはどうするか。これを事前に決めているからこそ、導入後に現場が迷いません。サポート計画は押しつけではありません。現場が「こういうサポートが欲しい」と言ったことを形にしたものです。

パターン3:機能ではなく困りごとの解決策を売っている

定着に成功したベンダーは、提案の入口が違います。「このシステムにはこんな機能があります」ではなく、「御院が困っているこの課題を、このシステムで解決できます」という提案をします。現場が抱えている困りごとを理解しているから、機能が「手段」として伝わります。機能を売っているベンダーの提案は、現場には刺さりません。困りごとの解決策を売っているベンダーの提案は、現場の言葉で語られています。


では何をすべきか

まず次の提案から、この3つのパターンを意識して動くことです。特にパターン1の業務棚卸しができるかどうかが、全ての鍵を握っています。

棚卸しができれば、現場の困りごとが見えます。困りごとが見えれば、サポート計画も的外れになりません。困りごとの解決策として提案できます。3つのパターンは独立しているわけではありません。パターン1があってこそ、パターン2・3が機能します。

ただし業務棚卸しは、現場を知らないと難しいです。何を聞けばいいのか。どこに非効率があるのか。現場のどの言葉が本音なのか。この判断は、現場に入り続けた経験からしか得られません。

現場を知っているパートナーと一緒に棚卸しをすることが、最も現実的なアプローチです。パターン1を確実に実行できる体制を作ることが、定着成功への第一歩です。

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