「他社の方が安いので、今回はそちらにします」
田中さんがその言葉を聞いたのは、3回目の提案の後でした。納得がいきませんでした。機能は競合より充実しています。サポート体制も手厚い。導入後の定着支援も含めれば、明らかに自社の方が価値があります。
でも病院側には、その差が伝わっていませんでした。
結果、価格だけで比べられました。価値を伝えられなかったから、価格で負けました。
なぜ価値が伝わらないのか
価値があるのに伝わらない理由はシンプルです。機能の説明に終始して、導入後の変化を描けていないからです。
「この機能があります」「このデータが取れます」「他社より項目が多いです」——それは全部、製品の話です。病院側が聞きたいのは製品の話ではありません。
導入実績を示す場合も同じ落とし穴があります。「○○大学病院に導入しています」「全国200施設に採用されています」——それを聞いた中小病院の師長・事務長は心の中でこう思います。「だからどうしたんですか。うちとは規模も環境も違います」
伝わる実績とは、規模や環境が近い病院で、似た課題を抱えていた現場が、導入後にどう変わったかを具体的に示すことです。数字で、言葉で、リアルに。「これはうちの話だ」と思わせることができて初めて、実績は価値になります。
そしてさらに一歩進んで、「あなたの病院にはこんな強みがある。そこに自社のシステムを組み合わせれば、こういう未来が実現できる」という提案ができたとき、価格では比べられない提案になります。
過去の具体例と、未来のビジョン。この2つを示せたとき、競合との差別化が生まれます。
では何をすべきか
提案の前に、病院の業務を棚卸しすることです。
何に困っているのか。どこに非効率があるのか。現場のキーパーソンは誰か。過去にどんなシステムを入れて、なぜ定着しなかったのか。この情報を持って初めて、「あなたの病院が困っていることを、自社のこの機能で解決できます」という提案ができます。
機能を売るのではありません。困りごとの解決策を売るのです。その順番が逆になっているベンダーが、今も価格競争に巻き込まれ続けています。
棚卸しなしに提案しても、競合と同じ提案書になります。同じ提案書なら、価格で選ばれます。でも「この病院の、この課題に、この機能が効く」という提案ができたとき、競合と比べられなくなります。
この市場はまだレッドオーシャンではありません。現場の困りごとを理解した上で提案できるベンダーが、まだ少ないからです。今動けば、差別化できます。
それが、定着支援という専門領域が存在する理由です。
Medishift Designの詳細はこちら→メーカー向けサービス

